皆さん、こんにちは。
慶應義塾大学の松本です。
私のブログやセミナーでは、中小企業の経営者の皆様から資金調達に関する多くのご質問をいただきます。
中でも「ファクタリング」については、関心が高い一方で、誤解されている点も少なくないようです。
「手数料が高いのでは?」
「違法ではないの?」
といった基本的な疑問から、より専門的な内容まで、日々多くのご相談が寄せられます。
そこで今回は、皆さんからよくいただく20の質問を厳選し、大学の講義のように、基礎から丁寧に、そして実務経験を交えながら徹底的に解説していきます。
この記事を読み終える頃には、ファクタリングを正しく理解し、ご自身の経営に活かすための判断軸が身についているはずです。
一緒に学んでいきましょう。
目次
第1部:これだけは押さえたい!ファクタリングの基礎知識編
Q1. そもそもファクタリングとは何ですか?融資とはどう違うのですか?
まず基礎から確認しましょう。
ファクタリングとは、企業が持つ「売掛債権(取引先から将来お金を受け取る権利)」をファクタリング会社に売却して、その代金を早期に受け取る資金調達手法です。
ポイントは、これが「債権の売買契約」であるという点です。
一方で、銀行などからの融資は「金銭の貸借契約」、つまりお金を借りることです。
これは負債(借金)になりますが、ファクタリングは自社の資産(売掛債権)を売却するだけなので、負債が増えないという決定的な違いがあります。
私が政策金融公庫にいた頃、融資の審査が通らず、やむなくファクタリングを利用した企業がありました。
しかし、その後の事業計画が甘く、手数料の負担でかえって資金繰りを悪化させてしまったのです。
この経験から、私は「負債にならない」ことの重要性と、計画的な利用の大切さを痛感しました。
項目 | ファクタリング | 融資 |
---|---|---|
契約の種類 | 債権の売買契約 | 金銭の貸借契約 |
会計上の扱い | 負債にならない | 負債(借入金)になる |
審査の対象 | 売掛先の信用力 | 申込企業の信用力 |
Q2. 「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の違いは何ですか?
ファクタリングには、主に2つの契約形態があります。
それぞれの仕組みと特徴を理解することが重要です。
1. 2社間ファクタリング
利用者(あなた)とファクタリング会社の2社間で契約する方式です。
売掛先に通知する必要がないため、取引先に知られずに資金調達できるのが最大のメリットです。
ただし、ファクタリング会社にとっては売掛金の未回収リスクが高くなるため、手数料は高めに設定されます(相場:8%~18%)。
2. 3社間ファクタリング
利用者、ファクタリング会社、そして売掛先の3社間で契約する方式です。
売掛先から直接ファクタリング会社へ支払いが行われるため、未回収リスクが低く、手数料が安いのがメリットです(相場:2%~9%)。
一方で、売掛先の承諾が必要となり、資金調達に時間がかかる点がデメリットです。
どちらを選ぶべきか。
これは単なる手数料の比較ではなく、「取引先との関係性をどう考えるか」という経営判断そのものです。
長年の信頼関係があるなら3社間も選択肢になりますし、まずは内密に進めたいなら2社間を選ぶべきでしょう。
Q3. ファクタリングは違法ではないのですか?「ヤミ金」と同じだと聞きました。
結論から申し上げますと、ファクタリングは完全に合法な取引です。
これは民法第466条で「債権の譲渡性」が認められており、法律に基づいた正当な経済活動です。
しかし、「ヤミ金と同じ」というイメージを持たれる方がいるのも事実です。
その原因は、ファクタリングを装った悪質な「偽装ファクタリング」や、貸金業登録をせずに高金利で貸し付けを行う「給与ファクタリング」などが社会問題化したからです。
ここが重要なポイントです。
正規のファクタリングは「債権の売買」ですが、違法業者は実質的に「高金利の貸し付け」を行っています。
金融庁や中小企業庁も注意喚起していますが、契約書に「売買契約」と明記されているか、法外な手数料を請求されないかなど、基本的な点を確認することが自身を守る上で不可欠です。
Q4. なぜファクタリングの手数料は銀行金利より高いのですか?
これは経済学的に見れば、非常に合理的な理由があります。
一言でいえば、手数料は「リスクの対価」だからです。
銀行融資の場合、審査の対象は申込企業の返済能力や担保です。
厳しい審査を経て、返済される確度が高いと判断された場合に、低い金利でお金を貸します。
一方、ファクタリング会社が負うのは「売掛先が倒産して、売掛金が回収できなくなるリスク」です。
申込企業に返済義務がない(ノンリコースの場合)ため、このリスクは銀行融資よりも遥かに高いのです。
手数料の内訳は、主にこの未回収リスクの引き受けコスト、そして審査や事務手続きにかかる人件費などで構成されています。
身近な保険に例えると分かりやすいかもしれません。
私たちは万が一のリスクに備えて保険料を支払いますが、ファクタリングの手数料も、貸し倒れというリスクに備えるためのコストが含まれているのです。
Q5. 「償還請求権(リコース)」とは何ですか? “ノンリコース”が重要と聞きました。
この「償還請求権」の有無は、ファクタリングを利用する上で最も重要なチェックポイントの一つです。
- 償還請求権あり(リコース)
もし売掛先が倒産して売掛金が支払われなかった場合、その責任を利用者(あなた)が負う契約です。
つまり、あなたがファクタリング会社に代金を返済しなければなりません。
これは実質的に「債権担保融資」に近く、厳密な意味でのファクタリングとは異なります。 - 償還請求権なし(ノンリコース)
売掛先が倒産しても、そのリスクはファクタリング会社が負担します。
利用者(あなた)に返済義務は一切ありません。
一般的なファクタリングは、このノンリコース契約を指します。
私が政策金融公庫で見てきた貸し倒れの現場は、本当に悲惨なものでした。
ノンリコース契約は、こうした不測の事態から中小企業を守る、非常に重要なセーフティネットになるのです。
契約時には、必ず「ノンリコース」であることを確認してください。
第2部:自社でも使える?実践・利用編
Q6. どんな企業(業種)でも利用できますか?赤字決算や税金滞納でも大丈夫ですか?
はい、多くの企業で利用可能です。
ファクタリングの審査で最も重視されるのは、あなたの会社の経営状況ではなく、売掛先の信用力です。
そのため、赤字決算や債務超過、銀行融資を断られた後でも、利用できる可能性は十分にあります。
税金滞納の場合も基本的には利用可能ですが、注意が必要です。
税金の滞納が続くと、税務署が売掛債権を差し押さえる可能性があります。
そうなるとファクタリング会社が代金を回収できなくなるため、審査が厳しくなったり、断られたりするケースもあります。
ファクタリングは「銀行融資の代替手段」という側面だけでなく、急成長している企業が運転資金を確保するために積極的に活用する「戦略的資金調達」という側面もあります。
自社の状況に合わせて、多様な活用法を検討してみてください。
Q7. 個人事業主やフリーランスでも利用できますか?
もちろん利用できます。
近年は、個人事業主やフリーランスの利用に対応したファクタリング会社が非常に増えています。
ただし、法人と比較して事業の継続性や安定性が見えにくいため、審査では以下のような点がより重視される傾向にあります。
- 売掛先との取引が継続的であるか(単発の取引ではないか)
- 売掛先が法人であり、信用力が高いか
- 取引の証拠となる書類(契約書、発注書、納品書など)が揃っているか
中小企業診断士としてアドバイスするならば、日頃から契約書をきちんと交わし、確定申告書などの書類を整理しておくことが、いざという時にスムーズな資金調達に繋がります。
「教育は人を変える」という信念がありますが、こうした日々の地道な準備こそが、事業の安定性を高めるのだと私は考えています。
Q8. どのくらいの金額から利用できますか?少額でも可能ですか?
はい、少額からでも利用可能です。
かつては数百万円単位の利用が中心でしたが、近年はオンライン完結型のファクタリングサービスが増え、数万円といった少額の売掛債権にも対応する会社が多くなりました。
中には「1万円から利用可能」というサービスもあります。
これは、資金調達の選択肢が限られている小規模事業者やフリーランスの方々にとって、非常に大きな意味を持ちます。
私の社会人向け講座に参加された個人事業主の方も、5万円の請求書をファクタリングで現金化し、急な機材の故障に対応できたと喜んでいました。
必要な時に、必要な分だけ資金化できるのが現代のファクタリングの強みです。
Q9. 申し込みから入金まで、どのくらいの時間がかかりますか?
これは契約形態やサービスによって大きく異なります。
- 2社間ファクタリング(特にオンライン型): 最短即日
申し込みから審査、契約、入金まで全てオンラインで完結するサービスでは、「最短10分」を謳うものもあります。
これは圧倒的なスピードです。 - 3社間ファクタリング: 数日~2週間程度
売掛先の承諾を得るための手続きが必要になるため、どうしても時間がかかります。
「スピード」はファクタリングの大きな魅力ですが、急いでいる時こそ冷静な判断が必要です。
複数の会社を比較検討する時間を惜しんだ結果、手数料の高い契約を結んでしまっては本末転倒です。
教育者として、この点は特に注意を促したいと思います。
Q10. 必要な書類は何を準備すればよいですか?
一般的に必要とされる書類は以下の通りです。
事前に準備しておくと、手続きがスムーズに進みます。
【基本書類】
- 売掛債権の存在を証明する書類: 請求書、契約書、発注書など
- 身分証明書: 運転免許証、パスポートなど
- 事業用の通帳のコピー: 直近数ヶ月分の取引履歴がわかるもの
【法人の場合に追加で求められることが多い書類】
- 決算書(2~3期分)
- 商業登記簿謄本
【個人事業主の場合に追加で求められることが多い書類】
- 確定申告書(1~2年分)
- 開業届
なぜこれらの書類が必要なのか、その「意図」を理解することが大切です。
ファクタリング会社は、これらの書類から取引の事実確認や、あなたの事業の継続性を読み取ろうとしています。
書類準備は面倒に感じるかもしれませんが、自社の経営状況を客観的に見直す良い機会にもなりますよ。
第3部:失敗しないために!業者選び・契約編
Q11. 信頼できるファクタリング会社は、どうやって見分ければよいですか?
これは非常に重要な質問ですね。
悪質な業者を避け、優良なパートナーを見つけるために、必ず確認すべきポイントがあります。
私がもし経営者なら、この3点は必ず確認します。
1. 契約内容の透明性
手数料の内訳が明確で、基本手数料以外に不明瞭な費用(調査料、出張費など)を請求されないかを確認します。
また、契約書に「償還請求権なし(ノンリコース)」とハッキリ記載されていることが絶対条件です。
2. 手数料が相場の範囲内か
2社間で8%~18%、3社間で2%~9%という相場から、大きく逸脱していないかを確認します。
相場より著しく低い手数料を提示して、後から追加費用を請求する手口もあるため注意が必要です。
3. 企業としての信頼性
会社の所在地や代表者名が公開されており、実績が豊富であるかを確認します。
中小企業政策審議会委員としての知見から言えば、業界団体への加盟状況や、コンプライアンス(法令遵守)体制が整っているかも、信頼性を測る上で重要な指標となります。
Q12. 手数料の相場はどのくらいですか?安く抑える方法はありますか?
先ほども触れましたが、手数料の相場は以下の通りです。
- 2社間ファクタリング: 8% ~ 18%
- 3社間ファクタリング: 2% ~ 9%
この手数料を少しでも安く抑えるためには、いくつかの方法があります。
- 3社間ファクタリングを利用する: これが最も効果的です。取引先の理解が得られるなら、積極的に検討すべきです。
- 信用力の高い売掛債権を選ぶ: 売掛先が上場企業や官公庁など、信用力が高いほど未回収リスクが低いと判断され、手数料は安くなる傾向があります。
- 複数の会社から見積もりを取る(相見積もり): 同じ売掛債権でも、ファクタリング会社によって手数料は異なります。必ず2~3社から見積もりを取り、比較検討しましょう。
また、手数料の交渉も不可能ではありません。
元金融機関職員の視点から言えば、「継続的な取引の実績」や「売掛先の圧倒的な信用力」など、自社の強みを明確にアピールできれば、交渉を有利に進められる可能性があります。
Q13. 契約書では、特にどの部分をチェックすればよいですか?
契約書は専門用語が多く、読むのが億劫に感じるかもしれません。
しかし、ここを疎かにすると後で大きなトラブルに発展する可能性があります。
私が博士論文でファクタリングの契約理論を研究した経験から、最低限、以下の項目はご自身の目で必ずチェックしてください。
- 手数料の内訳: 基本手数料以外に、登記費用、印紙代、交通費などの諸経費がどちらの負担になるのか、明確に記載されているか。
- 償還請求権の有無: 「償還請求権なし」「ノンリコース」という文言が明記されているか。最も重要な項目です。
- 債権譲渡登記の扱い: 登記が必要かどうか。必要な場合、その費用は誰が負担するのか。
- 契約解除の条件: どのような場合に契約が解除されるのか、その際の違約金などについて不利益な条項がないか。
難しいと感じるかもしれませんが、ここは必ず理解してください。
分からない点は、契約前に担当者に納得がいくまで質問することが極めて重要です。
Q14. 「債権譲渡登記」は必ず必要ですか?デメリットはありますか?
債権譲渡登記とは、売掛債権の権利があなたからファクタリング会社に移ったことを法的に公示する手続きです。
これにより、ファクタリング会社は第三者に対して「この債権は自分のものだ」と主張できる「対抗要件」を得ることができます。
主に、債権が二重に譲渡されるリスクを防ぐ目的で行われます。
必ず必要というわけではなく、ファクタリング会社の方針や契約内容によります。
デメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
- 費用が発生する: 登録免許税や司法書士への報酬など、数万円~十数万円の費用がかかり、多くは利用者が負担します。
- 取引先に知られる可能性がある: 登記情報は誰でも閲覧できるため、取引先や金融機関が調査すれば、ファクタリングの利用を知られる可能性があります。
登記を留保(契約時点では行わない)できる契約もありますので、取引先に知られたくない場合は、登記の扱いについて事前に確認しておきましょう。
Q15. ファクタリングを利用したことが、取引先に知られてしまう可能性はありますか?
これは契約形態によって異なります。
- 3社間ファクタリング: 売掛先の承諾が必須のため、必ず知られます。
- 2社間ファクタリング: 原則として、知られることはありません。
ただし、2社間の場合でも、例外的に知られてしまうケースがいくつか存在します。
- 債権譲渡登記を閲覧された場合: 先ほど説明した通りです。
- あなたが契約に違反した場合: 例えば、売掛先から入金されたお金を、ファクタリング会社に支払わず使い込んでしまった場合などです。この場合、ファクタリング会社は債権を守るために売掛先に直接連絡を取ることがあります。
ここで一つ、新しい視点を提供したいと思います。
「知られること=悪」と短絡的に考える必要はありません。
欧米ではファクタリングは一般的な資金調達手法であり、経営の透明性が高いと評価されることさえあります。
オープンなコミュニケーションが、逆に取引先との信頼関係を深める可能性もあるのです。
第4部:より深く理解する!専門・応用編
Q16. ファクタリングを利用すると、信用情報に影響はありますか?
結論から言うと、信用情報に影響はありません。
信用情報とは、個人のローンやクレジットカードの利用履歴などのことで、信用情報機関(CIC、JICCなど)が管理しています。
銀行からの融資は「与信取引」にあたるため、この信用情報機関に記録が残ります。
しかし、ファクタリングは融資ではなく「債権の売買」です。
そのため、信用情報機関に記録が残ることはなく、将来の住宅ローンや事業融資の審査に影響を与えることもありません。
「基礎が最も重要」というのが私の信念ですが、このように信用情報の仕組みそのものを理解しておくと、なぜファクタリングが影響しないのかを論理的に判断できるようになりますね。
Q17. 保証型のファクタリングとは何ですか?買取型との違いは?
これまで説明してきた一般的なファクタリングは「買取型」と呼ばれます。
これとは別に、「保証型」というサービスも存在します。
- 買取型ファクタリング: 資金調達が目的です。
売掛債権を売却し、支払期日より前に現金化します。 - 保証型ファクタリング: 貸し倒れリスクへの備えが目的です。
手数料(保証料)を支払うことで、もし取引先が倒産しても、ファクタリング会社が売掛金の額を保証してくれます。
保険のようなサービスと考えると分かりやすいでしょう。
特に、海外の企業と取引を行う際には、この保証ファクタリングがリスクヘッジの手段として非常に有効です。
中小企業の海外展開を考える上で、知っておくと役立つ知識です。
Q18. ファクタリングを何度も利用すると、資金繰りが悪化すると聞きましたが本当ですか?
これは本当になる可能性があります。
ファクタリングは、手数料の分だけ手元に残る資金が減ります。
例えば、100万円の売掛債権を、手数料10%(10万円)で売却した場合、手元に入るのは90万円です。
もし、あなたの会社の収益構造そのものに問題がある場合(赤字が続いているなど)、ファクタリングの利用を繰り返すと、手数料の負担がどんどん重くなり、自転車操業に陥ってしまう危険性があります。
中小企業診断士として、はっきり申し上げます。
ファクタリングはあくまで対症療法です。
急な資金ショートを乗り切るための有効な手段ですが、それに頼り切るのではなく、なぜ資金が不足するのかという根本的な原因(利益率の改善、コスト削減など)を見つめ直し、経営改善に取り組むことが最も重要です。
Q19. 銀行や他の資金調達方法と、どう使い分けるのが賢いですか?
それぞれの資金調達方法の特性を理解し、企業の状況や目的に応じて最適なポートフォリオを組むことが賢明です。
私の著書『中小企業のための資金調達完全ガイド』でも詳しく解説していますが、基本的な考え方は以下の通りです。
- 銀行融資:
特徴: 低金利、多額の調達が可能、審査が厳しい、時間がかかる。
適した用途: 設備投資、長期運転資金など、計画的で大きな資金需要。 - ビジネスローン:
特徴: 銀行より金利は高いが審査は緩やか、比較的スピーディ。
適した用途: 少額の運転資金、短期的なつなぎ資金。 - ファクタリング:
特徴: 手数料は高めだが、審査が柔軟で入金が非常に速い、負債にならない。
適した用途: 急な資金ショートへの対応、売上が急増した際の運転資金確保。
資金調達を「点」ではなく「線」で捉え、自社の成長ステージや財務状況に合わせて、これらの手段を戦略的に組み合わせる思考が、これからの経営者には求められます。
Q20. 今後、ファクタリング業界や関連する法律はどうなっていくと考えられますか?
非常に良い質問ですね。
未来を見据えることは、経営において不可欠です。
中小企業政策審議会委員として、現在議論されている動向をお伝えしますと、大きな流れは2つあります。
1. 市場の拡大と健全化
政府(中小企業庁)は、中小企業の資金調達手段を多様化させるため、売掛債権の活用を積極的に推進しています。
2020年の民法改正で債権譲渡のルールが緩和されたことも追い風となり、市場は今後も拡大していくでしょう。
同時に、利用者保護の観点から、悪質業者を排除するための法規制や業界の自主ルールが整備されていくと考えられます。
2. デジタル化(FinTech)のさらなる進展
AI審査やクラウドを活用したオンライン完結型ファクタリングは、今後ますます主流になります。
これにより、手続きはさらに迅速化・簡素化され、手数料も競争によって低下していく可能性があります。
教育者として、皆さんがこうした未来の変化に適応できるよう、これからも最新の情報を提供し続けることが私の使命だと考えています。
まとめ
今回は、ファクタリングに関する20のよくある質問に、専門家の立場からお答えしました。
基礎的な仕組みから、実践的な注意点、そして少し専門的な話まで、段階的に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
最後に、最も大切なことをお伝えします。
それは、ファクタリングを「魔法の杖」ではなく、数ある資金調達手段の一つとして正しく理解し、自社の状況に合わせて賢く活用することです。
この記事で解説したポイントを、もう一度確認してみましょう。
- ファクタリングは「債権の売買」であり、負債にならない。
- 「ノンリコース(償還請求権なし)」が原則である。
- 手数料はリスクの対価であり、契約形態や売掛先の信用力で変動する。
- 悪質な業者を避けるため、契約内容の透明性を必ず確認する。
- あくまで対症療法と捉え、根本的な経営改善と並行して利用する。
基礎知識をしっかりと身につけ、表面的な情報に惑わされず、本質を見抜く目を養ってください。
もし、この記事を読んでも解決しない個別の悩みがあれば、私の開催するセミナーや個別相談もご活用ください。
皆さんの事業の成長を、教育という形でこれからも応援しています。